数日前、浜ちゃんこと元ファミ通編集長で現日本eスポーツ連合JeSU会長の「浜村弘一」さんのeスポーツが国内で復旧してない理由を述べたセミナーでの記事を見ました。
ざっくりと記事をまとめると「ゲームのイメージの悪さ」でeスポーツが国内に浸透していない事と、若い世代がeスポーツのゲームに興じていることから将来への期待が読み取れるという記事になっていました。
将棋も勝敗を競うゲームであり、eスポーツと似たような要素を持っています。
更に最年少連勝記録を打ち立てた藤井壮太さんが大きく話題になり注目が集まったように日本で浸透している競技です。
しかし、プレイ人口はeスポーツが将棋よりも圧倒的に多いにも関わらず、世界大会で日本代表選手が優勝しても将棋ほど話題になっていません。
そこで、本日は、同じ娯楽であるeスポーツがなぜ同じゲームである将棋に比べて浸透していないのか記事にしたいと思います。
eスポーツが日本でまだ流行らない理由
eスポーツ元年といわれながら日本で流行らない理由を記載していきます。
主な理由は沢山ありますが、浜村さんの意見と違った主な点をあげます。
歴史がなく抵抗があるため
将棋は日本に平安時代頃に伝来。
駒は最初は玉・金・銀・桂・歩の5種類だったことをご存知ですか?
そもそも、日本将棋連盟は戦後の1947年に設立されており、歴史があります。
一方、eスポーツは2007年にようやく定義されたばかりで、日本eスポーツ連合JeSUは2018年2月に設立されたばかりです。
現時点でeスポーツが流行らないのは、これから浸透していく段階であって、そもそも歴史自体がないからです。
日本では今年の2018年が「eスポーツ元年」と呼ばれているくらいです。
インターネットのような今では僕たちの生活に欠かせないものでも、最初は馬鹿にされていて、普及するまでには時間がかかりました。
携帯電話などもそうです。
ちなみに日本で1963年にはじめてTVゲームのイベントである「アミューズメントマシンショー」が開かれてから、家庭用ゲームのファミリーコンピューターが誕生したのは1983年です。
TVゲームが日本で一般に浸透するのでさえ20年以上かかっています。
eスポーツに限らず、新しいものにはどうしても抵抗が出てくるのは普通です。
普及運動が開催されていけば、日本のeスポーツの浸透も時間が解決していくと思っています。
個人的には、昨年と比べてeスポーツのニュースが多く挙がる時点で、昨年とは大きく変わっていると思っています。
その一例として、2018年ユーキャンの新語・流行語大賞のトップ10に「eスポーツ」がランクインしました。大賞こそ逃したものの、eスポーツが国内で注目を浴びてきた影響を知ることができました。
eスポーツがなぜ流行語になるくらいまで到達したのかといいますと、今年はeスポーツ元年といわれるように業界関係者が頑張ってきて大会を開催したり、普及活動を進めてきたからです。
よくeスポーツをメディアが無理やり広めている感があるとも聞きますが、メディアは商売ですので閲覧のないものを取り上げることはありません。
つまり、eスポーツに関心を持つ人が増えて、閲覧されつつあるので自然と取りあげられるようになってきただけです。

実際、調査結果を見るとわかるように若者を中心にジワジワと人気を高めています。
日本の家庭用ゲーム機文化
スマホを除くと日本はファミコンからプレイステーションなどゲームは家庭用ゲーム機で遊ぶ文化があります。
一方、海外はSteamなどでわかるようにPC(パソコン)で遊ぶ文化があります。
よって、海外のPCゲームで世界的に盛り上がっているeスポーツのタイトルが日本の家庭用ゲームで遊べないために流行らないという現象が起こっています。
どうして日本が海外で流行しているPCゲームを遊べるように移行しないのかというと、日本の家庭用のゲーム機がいらなくなってしまうからです。
つまり、PCで遊べるならプレステや任天堂スイッチなどを買わなくてよいじゃん!となるわけです。
ですから、任天堂などは日本のゲームを積極的にPCでもプレイできるクロスプレイを簡単には実現しないというわけです。
設備環境
eスポーツの大会がどこで開かれているのか?あなたはご存知でしょうか?
そうです。
現在はパッと思いつかないくらい大会が開ける場所が少ないのです。
大会といっても他のプロスポーツのように会場に集まってみるものではなく、ネット配信で放送されているものを見るというリアル感が低いものが多いですね。
生で見れても何万人という規模ではなく、少しだけ観客がいるという感じです。
よって、日本では生で韓国のようなプロゲーマーと観客と一体で楽しめる会場が1つしかなく、設備環境が整っていません。



現時点でたった1つのeスポーツ会場は東京の渋谷にある「吉本∞(無限大)ホール」のみです。
それでも席は100席未満の規模ですね。
法律
日本ではeスポーツの盛り上がりが欠けていることは薄々感じ取れると思います。
それは日本の法律が妨害していることにあります。
具体的には以下の障壁が発展を妨害しているからです。
景品表示法
景品表示法は、賞品やサービスを売るために賞金、賞品を出すというプロモーションに制限をかけるという法律です。
日本のゲームでもよくキャンペーンがありますよね。
あの時にアマゾンギフト券など○○円分がが当たる!という設定金額に景品表示法が使われています。
日本のキャンペーンはショボイと感じるのは景品表示方法があるからです。
なお、以下のようなルールが定められています。
商品が5000円未満・・・金額は商品の20倍まで。例えば2000円の商品なら賞金が4万円ということです。
商品が5000円以上・・・金額は10万円まで
つまり、eスポーツの大会で優勝しても10万円までしかもらえないということがネックで盛り上がりに欠けています。




ちなみに、この法律のおかげで優勝賞金500万円のはずが、たった10万円しかもらえないという問題が起こりました。
風俗営業法
ゲーム店やゲームセンターで賞品、賞金は出してはいけないという法律があります。
よって、小さなゲーム店などの大会が行われず、普及に時間がかかってしまっています。
賭博罪
法律で参加費の一部を商品にしてはいけないという法律があります。
例えば、参加費5,000円で1,000人が参加、優勝した人が5000万円を総取りというようなことは「賭博罪」に該当し、違法になります。
よって、参加費をとって、その一部を商品にすることができないために大会が開きづらく、発展が阻害されているわけです。
高額賞金を出せるゲームが少ない
大会を盛り上げる高額賞金のゲームタイトルが少ないのも発展を阻害しています。
先ほど、eスポーツ大会で10万円しか出せないと記載しましたが、一部はそれ以上出すことが可能です。
それはプロライセンスを出せるタイトルなら高額賞金でもOKとなっています。
(プロライセンスに関しては後述で詳しく説明します。)
現在、日本でプロライセンスを出せるゲームタイトルは10前後しかありません。
(スト5、モンスト、ぷよぷよ、ウイイレ、パズドラなど)
現状ではプロライセンスを出せるゲームタイトルがあまりにも少ないですね。
だからこそ、賞金総額10万円以下の大会ばかりで盛り上がりに欠けるのです。
国内eスポーツプロ選手の給料が少ない
一般的に棋士(プロ棋士)によって年収はかわりますが、全体的な平均としては年収700万~800万ぐらいといわれてます。現在プロ棋士(プロ棋士)は全国に160人程度の人がおり、最下位の方でも年収は400万程度といわれてます。 https://heikinnenshu.jp/other/kishi.html
ご覧のように将棋のプロ選手の平均年収は700~800万円ほどとサラリーマンの年収を上回っています。年棒1位は、羽生義治竜王で1億円ほどあります。
一方、eスポーツの国内年棒1位は、ときど選手で推定年棒2000万円となっており、プロ選手の平均年棒はサラリーマン以下になっています。
(これからどんどん増えていくかと思います。)



以前の記事で書きましたが、現状の日本のプロゲーマーの多くは本業の収入だけで食べていくことは難しいようです。
よって、大会だけではなく、ゲーム配信者(ストリーマー)になったり、イベント等に参加して食いつないでいるプロが多く見られます。
逆に海外でeスポーツが浸透しているのは、圧倒的に稼いでいるプレイヤーが多数いるからです。
ドイツのKuroKy選手は1年で推定3億8千万円を稼いでいます。
資本主義社会なので仕方ない部分なのですが、「稼げないプロスポーツ=軽視される」という風潮があるのは、あなたもわかると思います。
ときどさん、ウメハラさん等が活躍している格闘ゲームや、ウイイレなどは日本も非常に強いのです。
しかし、大会賞金がLOLやDota2などに比べると低いので、どうしても年棒では見劣りしてしまいます。
LOLは現状は海外の方が強く、日本チームはそれほど目立たない状況にあります。
国内eスポーツの浸透には、圧倒的に稼ぐプロのスター選手の登場は必須でしょう。
eスポーツは将棋を超える可能性は高い
現状はeスポーツは歴史が浅く、パッとしないと思っている方もいるでしょう。
ただ、将棋を抜く可能性は非常に高いです。
その理由をいくつか記載します。
競技人口が多い



競技人口が将棋に比べて圧倒的に多いのがeスポーツ。
既に全スポーツの競技人口の中でベスト5に入っているほどです。
公平性が高い
eスポーツは、性別、年齢、体格などのクラス別がなく、全員が平等の状況で戦う競技です。
仮に障がい者であっても同じ状況で戦います。
eスポーツは、年齢や性別、体の状況に関わらず同じ土俵で戦います。
これは非常に平等性が高いと思いませんか?
例えばバスケット等のように、足が悪い人向けの車椅子のパラリンピックというようにわける必要もないわけです。
つまり、誰でも同じ土俵で楽しめるために広がっていくのは目に見えているというわけです。
世界的大企業のゲーム業界への進出
日本でも2020年に大容量通信が可能になる5G時代。
いま静かにクラウドゲームサービスがやってきていることをご存知ですか?



詳しくはブログ内の上記事などで記載していますが、Google、Apple、Microsoftなど世界的な大企業がゲーム業界で力を入れ始めています。
一方、将棋にこれらの世界的な企業が力を入れているか?というと「ノー」です。
よって、ゲームの浸透でeスポーツが更に広がっていく可能性が高いです。
プロライセンス
これまで日本では10万円以上のeスポーツ大会は開くことができませんでした。




ところが、最近では賞金総額5,000万円の大会なども開催することができるようになりました。
なぜでしょうか・・・?
理由は、そのゲームタイトルにプロライセンスがあり、イベント興行にしてしまえば、法律にひっかからないからです。
イベント興行になると、パフォーマンスをして仕事扱いになり、賞金総額の大きな大会を開けるということです。
そして、そのゲームのプロライセンスを所持しているプロであれば、10万円以上の賞金を受け取れるようになります。
プロにとっては賞金は報酬となり、その額が高額であろうと受け取れるわけです。
日本の法律では生業として、仕事であるならばOKということになっています。
だからこそ、日本eスポーツ連合(JeSU)が設立され、その証明であるプロライセンスが発行されるようになりました。
プロライセンスを持つことで野球やサッカーなどの他のプロと同じ扱いになるわけです。
このプロライセンスに関しては大きな問題があります。
まず、プロライセンスの発行が遅いです。
そのためゲーム発売開始から盛り上げようと思ってもJeSUに申請して時間がかかり、大きな大会を開けず、すぐには盛り上がらないわけです。
また、プロ認定の基準もあいまいで、どれくらいの成績を上げるかプロになれるのか?タイトルによって曖昧すぎます。
この曖昧さをなくしていく事でeスポーツは浸透していくでしょう。


仕事化すると大きな賞金を受け取れるなど日本は法律が大きくeスポーツの発展を阻害しており、曖昧な点が多いですね。